あれは三年前

平成30(2018)年11月29日


世田谷支部 小松 賢次 五段
無雙直傳英信流

あたかも、ちあきなおみさんの歌の歌詞のようですが、わたしの場合は居合道に対する本気の挑戦が始まったのが三年前、師匠の田口阿勢齋先生に送った一通のメールからなのです。 内容は「リベンジしたいです、去年の居合道全国大会の結果に納得できません、云々」というものでした。それ以来、わたしの気持ちを汲んでくださった、田口先生のフィジカルとメンタルの厳しさが増した稽古がはじまりました。とはいえ、世のなか、そう簡単に好結果に結びつくわけがありません。当然ですが、ほかの剣士の皆さんも優勝を目指し、わたしと同じかわたし以上に努力していますから。

そして今年、田口先生にご指導いただいてから8年目、平成最後の年に開かれた、第44回 居合道全国大会 五段の部で初優勝することができました。試合当日の朝、ホテルでシャワーを浴びながら思ったのは、何が何でも勝つ、優勝したいという強い気持ちではなく、気力と体力が充実した満足感でした。これからはじまる試合やほかの剣士のこともまったくといっていいほど気になりませんでした。

五段の個人戦後、世田谷支部の皆さんと談笑しているとき、出光支部の北島さんに「小松さん優勝したよ、おめでとう!」と教えていただきました。一瞬、何をいわれているのか理解できませんでした。「小松さん、優勝だよ、優勝!」と再度いわれて、ようやく自分が優勝したことが理解できました。すぐに田口先生のところへ報告にいくと、福嶋阿正齋先生もいらっしゃいましたので、両先生に「ご指導有難うございました。ようやく優勝することができました。」とご挨拶しました。

居合道全国大会優勝後、稽古の度に思うのは、もっと上手くなりたいということです。目指しているのは、肩の力の抜けた居合でありながら、敵を一刀両断できる力の横溢した居合です。そして、先日、開催された第12回 東京大会 個人戦 五段の部では準優勝しました。それにもドラマがあるのですが、またの機会にさせていただきたいと思います。