Dainihon Iaido Federation

支部長
井上 阿香齊 当支部は、世界遺産・百舌鳥古市古墳群のなかに位置し、周辺には前方後円墳、円墳、方墳など、悠久の歴史を物語る古墳が数多く点在しています。そんな歴史と文化に包まれた恵まれた環境のなか、私設道場で日々稽古を重ねています。道場は年中無休、1日24時間いつでも利用可能で、心ゆくまで稽古に打ち込むことができます。

居合道は、剣道や空手道、柔道のように実際に相手を打ったり、切ったり、投げたりする稽古とは異なり形稽古に始終する武道です。その関係で、いろいろな面で実際には到底考えられない解釈が、編み出されています。
『隙があれば自分が斬られる』ということさえも忘れておられる人を見受けます。基本的な刀を振り回す筋肉ができていない人、体の使い方が間違っていて体の安定がない人、切先にスピードがなく大根さえも切れそうでない人、刀に振り回され止めるべきところで止められない人達がいます。

そこでわたしは、次の点に重点を置いて稽古（自分自身も含め）をしています。
まず、歩き方、正しい姿勢。これは誰もが日常生活で当たり前にやっていることですが、なかなか難しいものです。さらに、体の柔軟性、脚力、腕力づくりといった基礎体力。最初にストレッチングをして柔軟性を高め、次に機敏性の向上に努めます。それができて初めて刀に触れる――そんな順序で指導を行っています。たとえ将来何らかの理由で居合道を離れることになったとしても、ここで学んだ身体の動かし方や身体づくりが将来健康に役立つような運動の仕方を教えています。

居合道は、単なる刀の操法を学ぶものではありません。いかに理合に近づけるか、そこに本質があります。
『千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とする』という言葉のように居合道に終わりはありません。日々の稽古のなかで鍛え、地道な努力を積み重ねることでのみ、真の上達があるのだと思っています。